君、死にたまふことなかれ
決戦の朝。
朝日の差す自室。
幸村は赤い戦装束に袖を通していた。
傍には佐助が控えており、着付けを手伝っている。
「本当に行くの?先の戦の傷がまだ…」
背に羽織を掛けてやりながら、心配気に主に問いかける。
幸村の剥き出しの腹には、血の滲んだ包帯がきつく巻かれていた。
彼に手当を施した当の本人である佐助は、その傷がどれ程深いものかよく知っていた。
「戦で武功を挙げる事こそ、我が務めなれば」
「でもこんな深手じゃすぐに…!」
言い募って正面から幸村の顔を覗き込んだ佐助は、愕然となった。
(この、目は)
煮え滾る闘志、明らかなる歓喜。
遠い戦場に思いを馳せ、愉悦する夜叉がそこにいた。
その目のなんと、壮絶な事か。
佐助は震える指で、幸村の頬に触れた。
幸村は身じろぎ一つしない。
その目は佐助を通り越し、遥か彼方の戦場を映し込んでいた。
そこが彼の居場所。彼の唯一の生きる道。
(あんたは…あんたはどうして…!)
「どうしてそんな生き方しか出来ないんだよ…」
よろよろと力なく、腕を回して抱きしめた。
この腕は、未来永劫、この人に届く事はない。
(ねえ、頼むから、お願いだから、)
誰よりも血の赤が相応しい人よ、
激しく鮮烈な、黄泉の国の使者よ。
私の事など、気に留めなくていいから。
一生、振り返らなくてもいいから。
どうか、どうか、この願い聞き届け給え。
「お願いだから、死なないで…」
置手紙
行けば死ぬかもしれない。
たとえそんな状態でも、宅の幸村は行かずにはいられないのですよ!
戦場の血の香りが彼を呼ぶのです。
テスト前で時間がないとか喚いておきながらこんなの書いてるし!もうどうしようもないな自分!
お題配布元:philanthropism(PC)